先週の宮城県側の「剥き身牡蠣全出荷停止」報道を機に、加熱用殻付き牡蠣を取り扱う当社のカキ小屋部門では一気に売上が激減し、同じ宮城県内の生産者、飲食店、流通業者も同様に大変困った状況に陥りました。
全生産海域でノロが出たと報道されていますが、それは間違っており、雄勝湾など幾つかの産地では、衛生検査に合格し、殻付き生食用牡蠣を出荷できたし、まして加熱用殻付き牡蠣としての出荷は全く問題なかったのに、ノロ発症は牡蠣が原因である印象を受ける発表をされてしまうという結果になりました。
今回の風評被害の原因をつくったのはどこにあるのか、責任の所在をハッキリさせ、今後今回のようなことがないようにしてほしいと思うとともに、宮城県には、業界の足を引っ張ることはしないで、陸上で出たウィルスを宮城の清浄海域に排出させない研究開発など進めてほしいと思っています。
一方で、責任云々といっても、現在進行形の事業は待ってくれず、僕たちは手を打ち続けなければなりません。
実は僕は、今回の騒ぎの前から、仙台市内の街中でのオイスターバー開店を目指し、物件を探していました。
オイスターバーは、何年も前から構想していたものの、さまざまな障害があって、なかなか実現できていませんでしたが、ようやくここに来て、ここでやってみたいという物件に出会え、条件も悪くないところが見つかり、契約する方向で動いていたところに、今回の風評被害が起きたわけです。
これに対し、経営者としてどう判断するのか。止めるか、止めないか。契約するか、しないか、悩んでいました。
確かに今回のことは一過性のことと感じますが、今シーズンずっと尾を引くような風評被害の中、タイミングとしてどうなのか、と思ったのです。
今回の騒ぎの後でも、人には、今度オイスターバーをやろうと思っています!と言うものの、心の奥底では、大丈夫だろうか、と正直不安を感じていました。
今日、たまたま別件で何人かの方々と話しをしたあと、その話しを思い出しながらの仕事の帰り道、ふと
よし、やろう! どこにもないオイスターバーをつくろう! という気持ちが沸々と湧いてきました。
確かに、別に今回のような騒ぎがなくても、他にはないオイスターバーをつくりたいと思い続けてはいましたが、具体的な構想は浮かびませんでした。
しかし今回の対策を考えるなかで、具体的構想が出てきました。
つまり、本気でオイスターバーをやろうと思った瞬間、言い換えると、心の不安が消えた瞬間、その具体的構想が生まれて、これならできる!という確信を感じました。
僕は、逆境は人を屈服させることはない、というのを信条にしていますが、逆にそれをバネにして、以前よりも遥かに良くなることが大事だと、東日本大震災で感じました。
そして、僕は今、逆境をバネに、他にはないオイスターバーを目指していきたいと、改めて思っています。