311の震災・津波で壊滅した三陸牡蠣。
多くの方のご支援で、ようやく陸上の牡蠣剥き処理場の建設が進み、海上の牡蠣養殖施設が進んできました。当社が進めた三陸牡蠣復興支援プロジェクトにおいても、2万4千以上の皆さんから暖かな応援をいただき、その結果、養殖資材を三陸漁業者に提供し、その後、復興かきとしての三陸牡蠣の出荷も始まっています。
そして現状、三陸のそれぞれの浜にもよりますが、およそ震災前の1/3から1/2くらいは復旧しています。
僕は常々、「真の復興とは、単に震災前に戻るのではなく、震災前よりも遙かに素晴らしい状況になることだ」と言っていますが、その背景として、そのくらいの意気込みがなければ、震災前にすら戻れないという危機感があったからです。
事実、多くの浜が復旧してきた今シーズンの牡蠣の販売は決して順調ではありません。
簡単に理由を説明します。
日本では、海外と異なり、牡蠣生産者は、漁協が提供している牡蠣処理場(カキ剥き場)を利用して、自身が生産した牡蠣を剥き身牡蠣にして、仲買人に流通させているのが一般的です。
牡蠣生産者は、剥き身にすることによって、剥き身価格が高くても安くても、とりあえず仲買人が買ってくれるという仕組みで生活が成り立っています。
もちろん殻付き牡蠣のほうは高値で販売されますが、しかし、殻付き牡蠣は、剥き身を買ってくれる仲買人が買うことはほとんどなく、牡蠣生産者が自ら販売しなければなりません。
誰でも想像できるとおり、牡蠣生産者は販売や営業についてはド素人で、誰でもできるものでもありません。中には、スーパー生産者がいて、生産もするし、販売もできる人もいますが、全国的にみてもごく少数です。
三陸牡蠣業界も、例に漏れず、ほとんどが剥き身牡蠣をつくる生産者であり、殻付き牡蠣を販売している生産者はごく一握りの人たちです。
つまり、剥き身の価格、仲買人が買ってくれる価格に牡蠣生産者の収入は左右されており、次の理由から、例年よりも低い金額で取引されているというワケです。
1)風評被害(放射能が検出がされなくても、風評被害はなくならない)
2)販路縮小(震災で一度失った販路を元通りにはできない)
以上のような理由で、今シーズンの販売は大変厳しい状況が続いています。
それでは、今後はどうなのか、というと、僕は大変厳しく感じています。
つまり、震災前の1/3から1/2程度の生産量であっても、今の販売状況ですから、これが来年、再来年となり、震災前の生産高になっていくと、今でも売るのが大変なのに、生産高が2倍、3倍になったら、どうなるのでしょうか。
僕は、三陸牡蠣の復興は、まずは生産者が元通りの生活に戻って、そして段々と震災前以上の産業になればと思っていましたが、このままでは、震災前にも戻れず、牡蠣をつくっても売れないなら辞めてしまう牡蠣生産者が増えるのではないかと危惧しています。
従って、僕は、せっかく皆さんによる復興への応援で、養殖施設が復旧してきていますが、今一度、販売支援、あるいは購入して買い支えて下さるようお願いしたいと思っています。
その、販売を伸ばす一つの取り組みが、今回の三陸牡蠣ノボリ1000本プロジェクトです。
三陸牡蠣を取り扱う飲食店、小売店に共通のノボリを掲げていただきながら、みんなで、三陸牡蠣を応援しようというものです。
年が明けた時、仙台の街中のいたるところで、共通ノボリが立っていれば、応援するお客様も、どのお店が三陸牡蠣を出して貰えるか分かり易いし、それによって需要も喚起できます。賑やかになれば、三陸牡蠣生産者も嬉しくなります。
共通のノボリを飲食店に無償で配り、みんなで三陸牡蠣を盛り上げたいと思います。
その共通ノボリの費用をクラウドファンディングで募集しはじめました。
ぜひ、この三陸牡蠣ノボリ1000本プロジェクトの応援、よろしくお願いします。
こちらから → 三陸牡蠣ノボリ1000本プロジェクト