事業経営

負け戦でもいいと思って戦ったら負ける

僕は東日本大震災後、壊滅状態にあった三陸牡蠣業界に対して、復旧から真の復興へ進む支援をしたいと思って行動してきました。

震災から初めての牡蠣シーズン(2011年10月〜)に入っても、風評被害で牡蠣が売れなくて困っていると聞けば、「自力で売っていきましょう、リスクは当社が持ちますから」と言って、漁協と一緒に”かき小屋”を立ち上げたり、また別な年にも、震災後に広島の牡蠣が今までの顧客を取ってしまったことから、せっかく生産量が震災前に戻ってきているのに売れなくて困っていると聞けば、それじゃみんなで応援するものが必要だと思って、”三陸かきノボリプロジェクト”を開始して、三陸牡蠣を仕入れている飲食店、500店舗以上に共通の応援ノボリを掲げてもらったりしました。

それは僕には、企業というものは多少なりとも社会性が必要であると思っていたし、さらにその事業が地域にとって有意義だと思ったら失敗しない、動機は善なのだから、という信念もあったために、自身の会社の体力はそっちのけで、そのような事業展開を進めてきました。

そうした中で、2016年末、また別な風評被害が起こり、産地では牡蠣が売れなくて困っていると聞いたので、今までにないオイスターバーをつくり、産地を勇気づけようと思って2017年に開店しましたが、他の幾つかの牡蠣事業が風評被害で軒並み前年を大きく割り込み、さらにオイスターバーの投資が大きかったことから、その後、事業譲渡を繰り返してしまい、やがて会社の事業が立ち行かなくなる状態となりました。

実は僕は、そのオイスターバーを開始するときに、今は非常に厳しい状況にあるけれど、負け戦になっても挑戦する意義がある!と信じていました。

結果、危惧していた通り負け戦となり、その戦いで消耗したことと他の事業での業績悪化も手伝い、とうとう会社を畳むことになったわけです。

僕は思います。

たとえ負け戦でも戦うことに意義がある、と思う戦いでは、決して戦いに勝てない、と。

たとえ動機が善だと思っていても、勝つためのやり方は熟慮しなくてはならない、と。

それを学ぶために、社員にも迷惑をかけ、会社をなくすほどですから、僕には大きな代償でした。

このブログを読む中小企業経営者に、ほんの少しでもこの話しが参考になったら嬉しいです。