事業経営

たった一冊の本が人生を変える

僕が28歳のときに始めたセブンイレブン店の経営の中で、よくアルバイトの面接のときに、僕はこのようなことを話した。

「たかがアルバイトだと思って時間を使わないで欲しい。なぜなら、もしアルバイトをしないで、本一冊を読んだり、あるいは一本の映画を観て、人生が大きく変わることもあるのだから、そうした貴重な時間を使う以上、アルバイトでも、単に身体を動かして働くというのではなく、仕事を通して自分が何かを学べるように取り組んでほしい。」

そう話して、時間を大切にしてほしいと伝えてきた。

僕はそれまで、一冊の本や、一本の映画で人生は大きく変わった経験はなかったものの、そういう話しはよく聞くから、受け売りで面接のときに話していたのだ。

そういう僕が、セブンイレブンを2店、クリーニング店、自動販売機オペレーター事業をやってるときに、たまたまいつも行く本屋で手に取ったのがこの本だった。

高木善之さんの地球村宣言だ。

僕はこの本を読んで、人生が大きく変わった。

というのも、上記に書いた事業をやってたので、環境に良くないと思ったことばかりだったからだ。

つまり、毎日毎日、大量の弁当やおにぎり、牛乳などの廃棄が多く、24時間電気を点けて、自動販売機も電気を使い続け、そういう事業で生活してることがたまらなく苦しくなったのだった。

結局、環境に良いことをしたい、と願い、自然を大切にすることを伝えるシンボルとしての風車を建てたい、そのために会社を上場させて資金を作るんだ、という動機で別会社を2000年につくり、2004年に株式公開を機会に、それまでのコンビニなどの事業はすべて事業譲渡していった。

そう、たった一冊の本をキッカケに僕の人生は大きく変わった。

僕は思う。

誰にでも等しく時間は有限だ。その限られた時間の中で、わずかな時間でも、何かのキッカケがあって人生が大きく変わることもある。

そういうこともあり得る、と日ごろ心に留めておくだけで、人生は大きく変わっていく、と。