事業経営

朽ちる技術

僕が中学生のときに、よくお世話になった先生に和田先生という方がいらっしゃった。

先生は、科学部の顧問で、僕自身は卓球部だったのですが、先生と僕は同じ趣味のアマチュア無線をやっているということもあって、何かとよくしていただき、度々、放課後に部に遊びに行きましたが、僕がプリント基板を加工しているときに、先生が僕にこう言いました。

「今の工業製品はしばらくすると壊れるように作られている。アンテナもそうで、アルミを薄っぺらくして作っておくから折れやすい。そうならない世の中にならないものかな。」

つまり、企業である以上、製品が長持ちし過ぎると次が売れなくなるので、壊れやすく作ってある、というわけだ。

いわゆる「朽ちる技術」だ。

まぁそれを技術と呼んでいいのかどうかもあるけれど、そうした工業製品の作り方は今でも同じだ。

一方で、環境問題を叫ぶ時代でもあるので、何か矛盾している。

矛盾といえば、僕が30年近く前にやっていたセブンイレブンも同様だ。

1日の集客が1000人以上、売上も高く、1店舗だけで年商は1億円を超える。その競争優位性の源泉は、圧倒的な品揃えであり、特に弁当、おにぎりなどの日配商品だ。

その裏側では、毎日、売価にすれば1万から2万円くらいの弁当やおにぎり、他の日配商品を捨てている。毎日、毎日だ。

それでいて、当時、セブンイレブンのビジネスモデルはもてはやされていて、お客様の支持も大きかった。

もちろん、今でもコンビニエンスストアは多くの顧客に支持され、一方、毎日毎日、大量の廃棄が全店で行われている。

僕は思う。

企業は、目先の売上追求、利益追求にとらわれず、あらゆる方向に対する影響を考えた製品開発、サービス開発をすべきだと。