三陸牡蠣は5年前の東日本大震災・大津波の壊滅的状況から段々と回復してきています。
県別殻付牡蠣収穫量 単位100t
県 H22年 H23年 H24年 H25年 H26年 H27年
岩手 96 33 5 37 48 58
宮城 417 133 51 130 209 187
※出典 農林水産省 H28年4月発表 漁業養殖業生産統計年報
生産者数も減少した数値ですから、生産量が震災前に戻っている生産者も多くなっています。
しかし、養殖を再開し、生産者の生活が少しずつ震災前に戻るにつれ、震災前からの問題点もそのまま戻ってきました。
それは、剥き身牡蠣中心の生産を背景にした生活の不安定さです。
もちろん、お客様の中には、殻付きではなく剥き身牡蠣が便利でいいと思われる方も多いと思いますので、僕も剥き身牡蠣の提供をなくしたほうがいいと思ってはいません。
といっても、剥き身牡蠣養殖だけでは、牡蠣生産者の生活が安定しませんし、収入を上げてもいけません。
例えば、剥き身牡蠣は、シーズンインのときに高値だとしても、1ヶ月もすると半値くらいに下がり、年越しすると当初の1/4以下に下がる場合もあるくらいです。
それでも高値の中での変化ならいいのですが、剥き身の売買価格が余りにも低いために生産調整として、牡蠣の水揚げを止められることもよくあります。
一方、殻付き牡蠣は、1年を通して一定の金額で売買されますので、どのくらいの生産を行えば、どのくらいの収入が見込めるか、ほぼ予想がつきます。
つまり、殻付き牡蠣養殖にシフトすることで、生産者の生活は安定するということです。
しかし、そこで一つの問題があります。
それは、従来の牡蠣養殖方法では、大量生産には向いているものの、形の良い殻付き牡蠣をつくるのには不得手ということです。
形の良い殻付き牡蠣の出荷に合った養殖方法とは、いわゆるシングルシード養殖という方法を取ることになるのですが、日本国内を見渡したとき、一部の生産者は取り組んでいるものの、実際のところ、多くの生産者は取り組んでいません。特に巨大生産地である広島や宮城ほど、まだまだ多くの生産者が剥き身牡蠣中心の生産となっています。
一部は、従来の養殖でつくった牡蠣をカゴ入れしたり、耳吊り養殖にして殻の形を整える程度です。
僕は、このシングルシード養殖を、まず三陸でスタンダードにできればと思っています。三陸において、標準的な牡蠣養殖方法にできればと思っています。
それによって、確実に生産者の収入は高まり、なおかつ安定させられるからです。
しかし、三陸の生産者は、高台移転などして、ようやく住宅に引っ越し始めたばかりで、まだ既存の養殖施設も整備している段階であり、新たな投資ができません。新しい養殖方法が良いと思っても、移行できる状況ではないのです。
そのため僕は、改めて牡蠣のクラウドファンディング(牡蠣オーナー制度)を通して、新しい養殖方法にチャレンジする三陸牡蠣生産者を支援したいと思いました。
かつて僕は、フランス式養殖によって付加価値の高い殻付き牡蠣生産をしようと、一部の生産者と会社を設立しましたが、今回のプロジェクトは広く三陸牡蠣業界における養殖方法を大きく変えようというものです。
三陸からはじめるシングルシード養殖、プレミアム牡蠣養殖によって、ひいては日本全体の牡蠣養殖産業を良くしていきたいと思っています。なぜなら、三陸牡蠣業界で抱える問題は他の地域の問題と共通だからです。
繰り返します。
これから三陸でスタンダードにしたいと思っているシングルシード養殖が、日本の牡蠣業界に変革をもたらし、生産者の生活を安定させ、牡蠣業界を守ることに繋がると思っています。
どうぞご支援ください。
プロジェクトページはこちらです。
→ 三陸プレミアム牡蠣オーナー募集