【詩】カメラのなかの小さな僕

カメラのなかの小さな僕     さいとうひろあき

カメラのファインダーをのぞくと
そこには小さいころの僕がみえる

アングルを変えるとファインダーに
人の影がみえる

こどもの僕を撮っている人の姿が
ガラスに反射してみえる

それは若かりしころの父
父がガラスに映ったときだけみえる

もっと右 もっと左
アングルを変える度に父がガラスにうつる

カメラ好きの父は
撮ることよりも大切なことがあると教えてくれた

もっと右 もっと左
カメラをにぎった父をずっとみていたかった


2021.7.24記す (父が亡くなり4ヶ月が経った日)