熱き情熱

ベンチャーは、中小零細企業とは異なる

言葉の定義というものは、言う人によって異なるところがあるので、あくまで僕個人としての考えを述べたいと思います。

 

中小零細企業というものは、たとえば、FCチェーンに加盟してフランチャイジーとなり、従業員を雇って経営したり、あるいは、ラーメンショップを立ち上げたりと、ごく一般的な、今まで他の地域に存在する付加価値(商品、サービス)を、他で提供する事業形態になると思います。

一方、ベンチャーは、同じようにFCチェーンに加盟するとしても、最初から多店舗展開や多業種によるFC展開を追求したり、またラーメンショップを立ち上げても、独自の看板、独自の技術でもってそれをチェーン展開して全国に広げようとするなど、今までにない全く新しい付加価値、あるいは既存の付加価値を組み合わせて独自の付加価値を生み出していくでしょう。

 

同様に、IT企業だからといって、すべてがベンチャーとも思いません。

特に地方ではそうですが、地方のIT企業はまさにゼネコンのピラミッド構造に組み込まれていることと同じで、東京からの開発案件や、地元銀行や電力会社からの開発案件を受注するのが地方の大手であり、その地方大手から受注する地方の中堅、さらにそこから受注するのが小さなソフトハウス、または個人ソフト技術者という構図です。

そのピラミッドに組み込まれた状態で、いくら進取のウェブサービスを開発したとしても、ベンチャー企業ではなく、それはあくまで地方ソフトハウスという名の中小零細企業の範囲です。

それはまさに、当社が2007年までにやってきた姿であり、ITベンチャーと言われながらも、実体は単なる下請け、孫請けの受注開発中心であったわけです。

 

見方をかえると、大企業でも、ベンチャーといえるのがあります。

例えば、アップル(2007年以前はアップルコンピュータ)は、1977年設立の大企業ですが、近年、iPod、iPhone、iPad等を世に送り出しているベンチャーだと認識しています。

つまり、ベンチャーか、そうじゃないのかは、企業規模でもなく、また創業から5年以内でもないのです。

創業2年でも、既存のレールに敷かれた事業を行う中小零細は、ベンチャーではなく中小零細だし、創業20年でも、ベンチャー性の高い企業もあるのです。

 

ただそれは、ベンチャーなら良いとか悪いとかいう話しではなく、定義の話しです。

そして僕は、企業はすべて、ベンチャーを目指すべきとは、全く思っていません。

簡単にいえば、ベンチャーを目指したい人は、大いにベンチャーを目指すべし、と思っていますし、そうじゃない方は、ムリにベンチャーなどを目指さないで、手堅い事業を行うべきだと思います。

 

人は、天から、特徴、才能、性質を受けて生まれてきています。
生物学的には、両親からの遺伝子を受け継いで、また育った環境によって、独自の性格、性質、才能を醸し出しています。

人は同一ではなく、顔かたちが一人ひとり異なるように、内面も多種多様です。

従って、経営者になるかどうかも、特徴の一つであり、偉い偉くないの話しでもなく、同様に、ベンチャーになるのか、中小零細のままで安住するのかも、偉い偉くないの話しでもないのです。

ベンチャーで新聞テレビを賑わせることがあっても、そういう人もいる程度と見ればいいのであって、必ずしも偉いとか素晴らしいわけでもないのです。

 

ただ僕は、世の中を大きく変えることができるのは、ベンチャー企業だと考えていますので、そういう意味で、「ベンチャー」と聞くと血が沸くような方は、ぜひ、目指してほしいし、世の中が住みやすく、世界が平和になるような新しい付加価値のある事業をどんどん進めてほしいと願っています。

僕も生涯、ベンチャー経営者として、新しい付加価値をもち、なおかつ社会性のある事業を進めていきたいと考えています。