三陸牡蠣復興

高き使命感と弱き人間力の狭間の中で

三陸牡蠣は大変危機的状況にあります。

震災前の4割程度に生産が復旧してきてても、販路縮小と風評被害によって、販売の危機が訪れているからです。

3年前の三陸牡蠣復興支援プロジェクトは、生産の危機に対して、多くの方からご支援いただき、生産復旧へ大きな力添えをいただきましたが、現在の販売の危機に対して、当然ですが、多くの方々の関心は薄れ、いや薄れただけではなく、販路が縮小したままで、なおかつ、風評被害が依然として残る現状は大変厳しいです。

それは宮城だけではなく、岩手においても同様で、売ることに苦労しない生産者はほんの僅かであり、ほとんどが漁協経由の剥き身牡蠣を出荷しても震災前よりも卸価格を落としている現状において、来シーズン、震災前と同じ程度の生産が行われた場合、販路がなくて、水揚げもできなくなった牡蠣が重みで海に落ちていく様子が想像に難くないのです。

といって、当社のように零細な会社で出来ることは限りがあり、また当社スタッフを高き使命感に昇華させられない自分の非力さを感じる日々です。

当社が運営している「かき小屋仙台港」では、今シーズン多くのお客様にお越しいただいており、恐らく、東北の中で、一番牡蠣を売っている店だろうと自負していますが、それでも、1店で支えられる牡蠣生産者は、ほんの僅かです。

では、同じ規模のかき小屋が10店あれば、販路縮小した三陸牡蠣を救えるほどの新たな販路になるかというと、それもまた難しいでしょう。最低3ケタくらいの店舗数がなければ、新たな販路とは呼べないと思っています。

僕は今、1店、2店と自己満足的に増やすのではなく、今までになかった新しい販路をつくれるように検討を進めていますが、考えれば考えるほど、力が無さ過ぎるのを実感しています。

しかし、三陸牡蠣復興支援プロジェクト、かき小屋プロジェクト、三陸オイスターフェスティバル、三陸牡蠣ノボリプロジェクト、フランス式養殖を行う株式会社和がきの活動など、僕の関わるプロジェクトを応援してくださる方々、また僕らに期待されている生産者のことを思えば、力がないので、もうムリですとは言えないし、また言いたくもありません。

だから、僕は力がほしいです。
強くなりたいです。

牡蠣を通して、三陸の真の復興に貢献するという結果を、どうしてもつくりたいのです。牡蠣の先進事例をつくり、深いダメージを受けた三陸を何とか元気にしたいのです。

それは、義務でもなく、夢でもなく、たった一つの使命感です。

こんな非力な僕でも、これで少しでも世の中に役に立てるのだったら、喜んで取り組みたいという使命感だけ、なのです。